ジャポニスム2018|Japonismes 2018


レポート

「ジャポニスム2018」フォローアップ フランス高校生グループ招へい『ジャポニスム :響きあう未来』ーB組

滞在日程 

国際交流基金関西センターでの歓迎会 

 2月25日、ちょうど新型コロナウイルスの感染が日増しに拡大し始めた時期、心配と不安もありましたが、B組の参加者一同、無事、関西国際空港に早朝便で到着し、早速オリエンテーション会場である国際交流基金関西国際センターへ向かいました。職員たちに温かく迎えられ、到着時の緊張がほぐれたようでした。滞在中の活動内容などの説明を受け、センター内の施設を見学しました。様々な国籍の外国人研修生のための日本語・日本文化の学びの現場を見て、参加者からは「是非また来たい」、「インターネットで利用できる教材を今後の学習で活用したい」という声がありました。歓迎会では、和やかな雰囲気とおいしいお料理でとても楽しいひとときを過ごし、翌日からの活動に向けて英気を養うことができました。

高校体験 

 大阪府箕面市にある私立アサンプション国際中学校高等学校のご厚意により、2月26日、学校訪問が実現しました。同高校は日仏高等学校ネットワーク「コリブリ」加盟校で、フランスのほか世界各国との間で高校生の交換留学を毎年実施していることもあり、期末試験直前の慌ただしい時期、また新型コロナウイルスの感染が広まり始めようとしていた中であったにもかかわらず、今回の訪問を快く受け入れて下さいました。
 学校に到着後、フランス語担当の菅沼先生をはじめ諸先生方に温かく出迎えられました。初めに聖堂での礼拝朝礼に参列しました。同校生徒による聖歌と先生のお話に静かに耳を傾けました。この後、午前中は書道のグループ実習に参加させてもらうことになりました。フランスの生徒たちは、はじめは緊張している様子でしたが、日本の生徒たちが気さくに話しかけ、和やかなムードを作ってくれたので、打ち解けるのにも時間はかかりませんでした。授業の最後は各々の思いが詰まった作品を仕上げることができました。その後、学院長のシスター・マージョより、フランスに礎を持ち大阪で同校を創設したカトリック教会・聖母被昇天修道会についてのお話を伺う貴重な機会をいただきました。お昼休みは教室にて同校の生徒たちと一緒にお弁当を取りながら、互いの学校生活などについての情報交換をしたり一緒にセルフィーを撮影したりするなど、時間の許す限り交友を深めていました。
 午後は高校1年生のフランス語クラスに参加しました。マジャンディ高校は「日本の伝統と近代化」、バルトルディ高校は「漫画が日本社会に与える影響」というテーマで、各学校の紹介と併せて、日本語とフランス語によるプレゼンテーションを行いました。フランスの地方都市や学校生活の話も日本の生徒たちにとっては新鮮だったようで、最後まで熱心に耳を傾けていました。放課後は校内掃除を体験しました。フランスでは生徒が学校の掃除をすることはほとんどありませんが、一人一人が衛生に関する意識を高めることの大切さについて改めて考えるきっかけになったようです。一日のプログラムがあっという間に終わりましたが、再会を約束して笑顔で別れました。

ホームステイ 

 B組の生徒も、A組同様、2日間の日本の家庭生活を体験しました。家族の一員として温かく出迎えていただき、ホストファミリーのご自宅で大阪の名物をご馳走になったり、一緒に学習カードゲームに興じたり、フランスの自分の街の紹介をしたり、家族団欒の時間を楽しんだようでした。バルトルディ高校のオセアンさんは、「ホストファミリーとは日本語だけでの会話だったので、日頃の勉強の成果を発揮することができたと思います。また、日本の家庭料理を教わったり、ホストシスターの友人とも交流をしたり、短い期間でしたが忘れがたい貴重な体験でした。別れは辛かったですが、いつかまたみんなに会えることを願っています。」と語ってくれました。
 ホームステイが終わった2月28日、新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、大変残念ながら、やむなく日本滞在予定を短縮し、3月2日にフランスに帰国することが決まりました。

テーマ別訪問 

■ フランソワ・マジャンディ高校/テーマ:「日本の伝統と近代化」
 マジャンディ高校の生徒たちは、これまで日本語学習を続けてきた中で、日本の文化が、外国文化の影響を受けつつもそれを独自の色に変化させて取り込み、さらに深化発展しているところに興味を持ち、今回の日本滞在では「日仏文化交流の発展と歴史」を切り口にして、日本の伝統と近代化について思考を深めることにしました。
 2月29日、パリご出身で、長く日本の大学で教鞭を取り、また関西日仏学館(京都)の館長も務められたミッシェル・ワッセルマン立命館大学特任教授との面談が実現しました。日仏交流の幕開けから今日に至るまでの歴史についてレクチャーを受けたあと、ワッセルマン先生ご専門の能や歌舞伎について、その普遍的価値と魅力、継承と新たな創造、西洋の舞台芸術との比較についても詳しくお話を伺いました。今回は滞在日程が途中で短縮されたため、残念ながら実際に歌舞伎を観劇する機会はありませんでしたが、近代化が進む中でも脈々と過去から受け継がれ、同時に新しい価値も創り出してきた日本の伝統芸能について理解を深めることができたようです。
 参加者のサヤさんは、「浮世絵から映画、マンガへと続いてきたように様々な『ジャポニスム』があり、日仏文化交流の歴史が続きてきた、二国間の長きに亘る文化の交流は世界でも唯一無二な関係であるということを話して下さったことが印象深かったです。」と話していました。
 また同日、2019年2月にジャポニスム2018「第3回全仏高校生日本語プレゼンテーション発表会」に参加した際にマジャンディ高校がテーマに選んだ、明治から昭和前期まで活躍した実業家・政治家の稲畑勝太郎ゆかりの地、アンスティチュ・フランセ関西(旧 関西日仏学館)を訪れました。稲畑は、日仏交流・親善にも大きく貢献し、同館創設に尽力した人物として知られています。アンスティチュでは、現館長であるジュール・イルマン在京都フランス総領事に温かく迎えていただき、1年前のプレゼンテーションを改めて披露しました。勝太郎の曽孫にあたる現在の稲畑産業社長が駆け付けてくださり、生徒たちは一層張り切って発表を行いました。フランスのリュミエール兄弟が発明した映写機で日本初の映画興行を手掛けた稲畑勝太郎の業績やその生涯について映像を交えながら説明し、コミカルなやり取りには客席から時折笑いがこぼれていました。参加者のジャドさんは、「アンスティチュ・フランセの日仏交流拠点としての役割や将来にわたるヴィジョンなど伺うこともでき、二国間の繋がりを再考察できた有意義な訪問でした。これを機に一層理解を深めたいです。」と話していました。

■バルトルディ高校/テーマ:「漫画が日本社会に与える影響」
 漫画やアニメをはじめとする日本のサブカルチャーは世界中で人気がありますが、フランスも例外ではありません。バルトルディ高校の生徒は、自分自身が漫画を通して日本の社会や日本人の生活ぶりを知り、関心を深めた経験から、漫画が人々に与える影響について掘り下げることとしました。今回の日本滞在中には、京都精華大学の吉村和真教授へのインタビューの他、京都国際マンガミュージアムや漫画・アニメを通じた観光産業や地域振興に力を入れている東京都豊島区役所への訪問を予定していましたが、帰国を早めなくてはならなくなったため、残念ながら実現しませんでした。
 しかし、短い滞在中、このテーマに関して、日本の日常生活の中で自ら気づき発見したことがたくさんあったようです。たとえば、日本では学習ツールの一つとして漫画やアニメが浸透していること、街中の広告などでは人々が瞬時に情報を取得できる効果的な手段となっていること、娯楽としてもフランスに比べて広く受け入れられていることといった点です。日本では、漫画・アニメは娯楽であると同時に、社会におけるマルチなツールとして重要な役割を果たしている、さらには、かつて浮世絵や日本映画が多くの人を魅了し世界へ向けて日本のプレゼンスを広めたように、今は漫画・アニメが日本の誇るべき文化となっていると実感したようです。参加者のオセアンさんとイオナさんは、「漫画・アニメを通して幼少期から心を惹きつけられてきた日本の文化への理解を深めることができました。今後は、漫画・アニメの将来性や社会貢献などにおける潜在的な可能性について、自分たちなりに思考を深め続けたいです。」と語ってくれました。

日本の文化・歴史に触れる 

 滞在中は、京都や奈良、広島へも足を延ばし、寺社仏閣巡り、国宝や重要文化財の鑑賞、茶道体験や歴史地区の散策などを行い、関西を中心に日本の歴史と地方の魅力を再発見できました。

■奈良訪問

 日本の国の始まりを体感できる世界遺産に囲まれ、1300年の歴史を誇る古都・奈良を訪れました。まずは広大な奈良公園を進んでいき、古くから春日大社の神使として人々から親しまれている鹿との触れ合いを楽しみながら東大寺へ向かいました。金剛力士像で有名な南大門を抜けて大仏殿へ到着。常香炉で心のお清めを行い、中を拝観しました。大仏の存在感に圧倒されながら、穏やかな表情と美しい佇まいに魅了されました。また、境内では梅の花がほころび始め、神秘的な空間に心奪われた様子でした。
 その後、世界最古の木造建築群でユネスコの世界遺産にも登録されている興福寺へ。国宝館では、パリのギメ東洋美術館で催された、ジャポニスム2018公式企画「古都奈良の祈り」展に出品された木造金剛力士立像などを改めてここでも鑑賞し、その細密さに心を打たれた様子でした。最後に伽藍の一つである五重塔を背に奈良公園の鹿に囲まれながら写真撮影を楽しんでいました。

■広島訪問

 帰国の前日3月1日、日帰りで広島を訪れました。厳島神社行きのフェリーに乗船し、春らしい穏やかな空のもと、心地良い潮風を感じながら、参加者は小旅行気分を味わっていました。神社の東回廊入口へと続く表参道を歩き、拝殿や能舞台など一つ一つ見て回りました。大鳥居は改修のため見ることは叶いませんでしたが、海に浮かぶ社殿を眺めたり、平安時代の雅あふれる情景を楽しんだりしました。
 続いて平和記念公園へ。原爆投下当時の惨状を残す壁面に破片となっているレンガや歪んだ鉄骨の残る原爆ドームを見学。原爆死没者慰霊碑では各々静かに祈りをささげました。原子爆弾の悲惨さや当時の歴史を知り平和の尊さを考える機会となりました。
 夜には、翌日の帰国を前に滞在を振り返る反省会、お別れ会をしました。予定より短い滞在となってしまいましたが、たくさんの新しい体験や出会いがありました。日本文化の奥深さを再発見し、それぞれがまた日本語学習を続ける意義を見出してくれたようです。参加者は名残を惜しみながら、楽しかった思い出とともに帰国の途に就きました。

 「ジャポニスム:響きあう未来」第一弾の活動は如何だったでしょうか?未来へのバトンを引き継いだ若者たちは、ジャポニスム2018を通じた縁をあたため、育んで、今後も日仏両国の友情を更に強く結んでくれることでしょう。新型コロナウイルスの感染が収まり、第二弾としてまた新しいフランスの仲間を日本にお招きできる日を私たちも心待ちにしています。

 なお、今回参加した全14名のフランスの高校生たちとルシー・オーブラック高校のブノワ先生による報告書をアップいたしました。日本の生徒たちとの交流の様子や、滞在を通じて感じたこと等をそれぞれの言葉でご報告していますので、ぜひご一読ください。

バルトルディ高校
Iona GUTHさん
Océane Sanchez Matéosさん
マンガに関する共同報告書

フランソワ・マジャンディ高校
Innès FAISSOLLEさん
Saya GUADARRAMAさん
Jade LAPORTEさん