ジャポニスム2018|Japonismes 2018

三番叟メイン画像
©KOS-CREA

レポート
2018/12/05

野村万作・萬斎・裕基 親子三代が競演『ディヴァイン・ダンス 三番叟』構成・美術 杉本博司

 9月25日、満月の夜、パリ市立劇場エスパス・カルダンにて狂言師の野村万作氏、萬斎氏、裕基氏の親子三代による公演が盛況のうちに千秋楽を迎えました。

 人生の悲哀や人間の善悪の二面性を表した名曲『月見座頭』を野村万作・萬斎氏が演じ、最も古い祝祷芸能のひとつである『三番叟』を野村家三代が日替わりで舞うという前代未聞の試み。両作品とも、現代美術作家の杉本博司氏が舞台空間や装束のデザインを手掛けました。

 


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 終演後のロビーでは、フランスの観客から様々な声が聞こえてきました。
 『月見座頭』は、目が見えずとも耳から聞こえる音をたよりに月夜を楽しく過ごすという面白さや、舞台美術の現代的な美しさを称えるとともに、多面的な人の心に注がれたまなざしに胸を衝かれたという声が上がっていました。『三番叟』については、「圧倒されるほどの壮麗な舞台。常に新しい美と不可思議さ、神秘を備えた夢幻的な儀式」といった感想が聞かれ、極限まで削ぎ落とされた儀式的な表現が印象的だったようです。
 ある観客は「ミニマルな表現が詩的で素晴らしかった、日本で観るのは難しいのでパリまで来てもらえて感謝します」と語りました。
 会場には、俳優、コンテンポラリーダンサー、デザイナー、メディアアーティストなども足を運んでおり、それぞれに日本の伝統芸能である狂言と自身の創作を比較して新たな発見をした様子です。「俳優個人の集中力もさることながら、集団での表現の力強さに感銘を受けた」と述べる人もありました。

 

 

 萬斎氏は「三代で同じ演目、しかも三番叟をやれたことが意気込みにもなり、三人を見比べていただくと、どのように継承が行われているかを感じていただけるはず」。裕基氏も「父と祖父に負けないよう、若々しく三番叟を踏ませていただいた」とコメント。万作氏は、「60年前に初めての海外公演を行った思い出のパリで、舞踊的な狂言の要素を持つ『三番叟』と、狂言の演劇としての深みを感じてもらえる『月見座頭』、舞踊面と演劇面、両側面を演じられることを嬉しく思う」と今回の公演を振り返りました。