ジャポニスム2018|Japonismes 2018

いけばなレポートのメイン画像
©keiko sumino-leblanc

レポート
2019/02/20

海外初競演となる5流派による「いけばな」イベントがパリで

 2019年1月30日から2月2日の4日間、パリ日本文化会館大ホールにて、いけばなの5つの流派による展覧会が開催されました。池坊、一葉式いけ花、小原流、草月流、そして未生流、5つの流派の家元・次期家元が一堂に会し作品を制作・展示する催しは、いけばなの長い歴史の中でも初の試みといえます。それゆえ「この貴重な機会を逃すまい!」と、遠方からも愛好者が集まり、なんとスペインから足を運んだという女性の姿もありました。
 期間を通じて、熱狂的なファンはもちろん、小さな子供連れからお年寄りまで、老若男女が詰めかけ、会場そのものが、いけばなが年齢や国境を越え広く愛される芸術であることを物語っていました。

 

©keiko sumino-leblanc

 

イベント期間中は、シンポジウム、ワークショップも開催されました。

 

©Midori Fujioka

 

 2月2日のシンポジウムは、5つの流派の家元・次期家元がいけばなの歴史と未来についてディスカッションし、その後、聴講者の質問に答えるという内容で行われました。いけばなは自然に寄り添う心の現れであること、また、いける「場」に応じ、光のさし方や天井の高さといった様々な要素を総合していけるものであることなど、各家元が自身の流派の特徴を交えながら基本姿勢を説明、さらに一葉式いけばな家元・粕谷尚弘さんからは「フランスではフローリストが作ったブーケがそのまま販売されている。その『場』に立って初めていけることができる、いけばなとは違い、単品で完結している西洋のフラワーアレンジメントはプロダクトに近い」といった、華道家ならではの意見も聞かれました。

 

©Midori Fujioka

 

 また、「伝統的な様式からかけ離れたインスタレーションが今後さらに進んで行くと、一目でいけばなと分かるものではなくなってしまうのでは?」という質問には、「基本がなければ自由花もいけられない」と草月流家元・勅使河原茜さんが、「いけばなは伝統と思われがちだが、歴史をひもとくと時代とともに変化していることがわかる」と小原流・家元小原宏貴さんが答えられました。
 シンポジウムの締めくくりに、いけばなのユネスコ無形文化遺産登録を目指した取り組みが宣言されると、会場は拍手に包まれ、「どんなに一生懸命いけても形を残すことができないいけばなにとって、最も大切なことは伝える人を育てること。日本人であってもいけばなを知らない人が増えている現代、無形遺産登録によっていけばなへの関心が高まり、伝承者の育成につながれば」と粕谷さんが述べられました。
 フランスのファンにとってはもちろん、いけばなの未来にとっても大きな節目となったことを感じさせる、貴重なイベントとなりました。

 

©keiko sumino-leblanc

【公式企画】  いけばな