ジャポニスム2018|Japonismes 2018

日本映画の100年レポートのメイン画像

レポート
2019/03/19

「日本の映画100年」現地ファンが日本人監督・俳優と交流楽しむ

 昨年7月からフランスで開催している「ジャポニスム2018」。閉幕を前に、日本から多くの監督・俳優が来仏し、公式企画の一つ、「日本映画の100年」の後半を華やかに彩りました。

 「日本映画の100年」は、日仏の専門家が共同で119本を選び1920年代から2018年までの日本映画の100年を辿るという企画です。2018年9月26日の『雄呂血』(1925年、二川文太郎監督)上映を皮切りに10月下旬まではシネマテーク・フランセーズにおいて、第1部「日本映画の発芽」と銘打って第二次世界大戦前までの傑作を紹介し、次いで11月から12月にはパリ日本文化会館で、デジタル技術で鮮やかに蘇った名作の特集、第2部-Ⅰ「4K修復で見直すクラシック傑作選」を行いました。
 2019年1月から3月にかけては、再びシネマテーク・フランセーズにて第2部-II「日本映画再発見―知られざる傑作映画特集」が、さらにパリ日本文化会館を会場に加えて第3部「現代監督特集」が現在開催されています。2月には上映作品の監督、俳優たちがアフタートークに登壇。たくさんのイベントを通じてフランスの映画ファンとの交流を楽しみました。
 非常に多くのイベントが実施され、残念ながらすべてをレポートすることができませんが、その一部をご紹介したいと思います。

「日本映画の100年」記者発表会
 2月15日、パリのフランス国立映画センターにて記者発表会が行われ、大林宣彦監督、役所広司さん、常盤貴子さん、宮﨑あおいさんという、日本映画界を代表する監督・俳優が出席。会場を大いに沸かせました。

 発表会の様子はこちら

 

©Yurina Niihara

 

 なおこれに先立ち、公益財団法人ユニジャパンとフランス国立映画センターの間で昨年締結された「日仏映画協力協定」の交換式も同会場で行われました。ジャポニスム2018の開催をきっかけのひとつとして、今後の日仏両国の映画分野における協力や交流が一層促進することが期待されます。

細田守監督 『おおかみこどもの雨と雪』アフタートーク
 2月12日夜にパリ日本文化会館で開かれた『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)の上映会では、フランスでも大きな人気を誇る細田守監督が登壇しました。「なぜ監督は物語を描くときに動物やファンタジーを用いるのか」「映画を作るに際して今までどんなことに影響を受けてきたのか」などといったフランスのファンの疑問に答えつつ、多くの質問でアフタートークの時間は瞬く間にいっぱいに。細田監督は「夜遅いのにたくさんの人が集まってくれてありがとう。ジャポニスム2018では日本からすごい監督たちが来てトークをするので、覗いてみてください。きっと何か刺激を受けると思います」と笑顔でステージを後にしました。イベント後は会場外で細田監督がファンの質問やサインの求めに応じる一幕も。参加したフランス人男性は「トーク後に直接監督に会えてうれしかったし、質問できる機会があって良かった」と喜びを口にしました。

 


©Hiroyuki Sawada

 

樋口真嗣監督 『シン・ゴジラ』アフタートーク
 2月15日夜はシネマテーク・フランセーズで『シン・ゴジラ』(2016年)の上映が行われ、樋口真嗣監督が舞台へ上がりました。「見ていただいたようにゴジラを倒したのはフランスです。その感謝の気持ちを見せたくて今回は来ました」と観客に挨拶すると、会場は大きな拍手に包まれました。樋口監督は常にユーモアを交えつつ「なぜ昔ながらの着ぐるみではなく3DCGでゴジラを撮影したのか」「どうしてシン・ゴジラでは形態を次々と変えていくのか」といったファンからの質問に答え、Q&Aは終始和やかな雰囲気で進みました。訪れたフランス人男性ファンは「いつ見ても印象的な作品だった。樋口監督本人の人柄も素敵だった」とコメント。多くの人が作品の感想を言い合いながら、楽しそうに帰路につく姿が印象的でした。

 

©Midori Fujioka

 

青山真治監督と宮﨑あおいさん『ユリイカ』アフタートーク
 2月16日午後にはパリ日本文化会館にて、青山真治監督と宮﨑あおいさんを招いての『ユリイカ』(2001年)上映会が開かれました。青山監督が「本日はこんなにたくさんの人が20年前の映画を見に来てくださるとは夢にも思いませんでした。ドキドキしています」と挨拶。『ユリイカ』は217分の長尺の作品であるため「長かったでしょ。僕は今日は客席で見ていないので、そんなにお尻は痛くないですけれど」と場を温めました。そして「なぜモノクロで撮ったのか」「このような長尺の作品になった理由は」といった質問に答え、また撮影当時14歳だった宮﨑さんは「ものづくりを楽しんでいる大人に出会えたことが、映画を大好きになるきっかけになりました」と映画への思いを語りつつ、「皆さんとお話できたことがとても楽しかったです」とコメント。最後は青山監督の「また会えるといいな。J’adore Paris(パリ大好きです)」という言葉に呼応して、観客が拍手で両ゲストを見送りました。

 

©Hiroyuki Sawada

 

「日本映画の100年」はフランスの映画ファンにとって、普段なかなか会うことのできない日本映画のクリエイターたちと交流できる、またとない機会になりました。監督や俳優の生の声を聞き、その思いを知った上で改めて日本の映画を観れば、また違うものが見えてくるかもしれません。日本の映画人たちにとっても、自分の作品がフランスの人々にどのように受け止められているかを直に感じ取ることができる、大変貴重なひとときとなったはず。今回の体験を生かした今後の更なる活躍がとても楽しみです。

 
ゲスト登壇者(五十音順、敬称略)
※カッコ内は第2部-Ⅱ/第3部にて上映の出演・監督作品(五十音順)
※ゲスト・トークのスケジュール等は「日本映画の100年」特設サイト参照
https://100cinema.japonismes.org/>参照

【俳優】
常盤貴子(『誰かの木琴』 『花筐/HANAGATAMI』)
宮﨑 あおい(『怒り』 『おおかみこどもの雨と雪』(声) 『ユリイカ』 『わが母の記』)
役所 広司(『キツツキと雨』 『孤狼の血』 『三度目の殺人』 『Shall we ダンス?』 『タンポポ』 『眠る男』『ユリイカ』 『わが母の記』)
【映画監督】
青山 真治(『ユリイカ』)
安藤 桃子(『0.5ミリ』)
岩井 俊二(『Love Letter』 『リップヴァンウィンクルの花嫁』)
大林 宣彦(『HOUSE』 『花筐/HANAGATAMI』)
沖田 修一(『キツツキと雨』 『モリのいる場所』)
阪本 順治(『エルネスト』 『団地』)
白石 和彌(『孤狼の血』)
濱口 竜介(『親密さ』)
樋口 真嗣(『シン・ゴジラ』 スペシャルトーク『巨神兵東京に現わる』)
細田 守 (『おおかみこどもの雨と雪』)
松永 大司(『トイレのピエタ』 『ハナレイ・ベイ』)
李 相日 (『怒り』 『許されざる者』)

 
【公式企画】
日本映画の100年