ジャポニスム2018|Japonismes 2018


(左) 『月見座頭』世田谷パブリックシアター「狂言劇場その参」 野村万作 ©Shinji Masakawa (中央) 『三番叟』野村萬斎©公益財団法人小田原文化財団 (右) 『三番叟』 野村裕基 ©Shinji Masakawa

  • 舞台公演
  • 2018年9月19日(水)~ 25日(火)(9月23日休演)

野村万作・萬斎・裕基×杉本博司『ディヴァイン・ダンス 三番叟』

日本を代表する現代美術作家・杉本博司による舞台空間の中、第一線で活躍する狂言師・野村万作、萬斎、裕基の親子三代による夢の共演!三人三様の三番叟に挑みます!

『三番叟』
三番叟は我が国に伝わる幾多の芸能の中でも、最も古い形式を留める古曲である。その源は天照大神の天岩戸伝説の頃まで遡ることができると言われている。この舞は、神が降霊する様を現したものであり、神事として最も重い曲として扱われる。その曲の流れは、時に静かに、時に激しく、舞を舞う生身の人間の身体に、密かに舞い降りる神霊の姿が見え隠れする。我が国における神の姿は、古来より気配としてのみ現われる。その気配は、現代社会へと堕した今日の日本にあっても、確実に存在することを、あなたは目の当たりにする。そして神が秘そむ域で、あなたは息を潜める。鏡板にかえて、雷(いかづち)を染め抜いた幔幕をもって古代の神話空間とした。

『月見座頭』
「狂言」は悲劇的なテーマを持つ「能」と共に演じられる。死者の霊を呼び出して昔語りをさせるという、時空を超えた舞台に観客の心は魅了される。舞台が終わり、死者の魂が黄泉の国に戻っていく様を目の当たりに見た人の心が、冥界に迷い込む恐れがある。その観客の心をこの世に引き戻す為の演劇的な仕掛け、それが喜劇としての狂言である。

笑は人の心を弛緩させる。日常とは心の弛緩であり、演劇とは心の非日常である。笑は時として日常の中に潜在する不条理の中にある。狂言『月見座頭』はその極みを表現する。盲者が月見をするという設定がまず不条理である。しかし話を聞くと、満月の光を浴びて喜ぶ秋の虫の音に聞き入ることで、盲者はその心に名月を見るのだという。その盲目の詩境を共に過ごす日常者としての眼明きは、酒の酔いとともに、盲者だけに見えているその詩境に嫉妬をし、人格が豹変するのだ。共に酒を酌んだ友が、別れた後に暴漢となる。盲者にとっての善者と悪者は、実は健常者一人の心に潜む心の裏表であったことを、その盲者は知る術もないことが観客の笑を誘う。

笑は人の心を弛緩させる。しかしその笑いの中にも、底知れず深い、人の心の闇が広がっているのだ。

(杉本博司)

・期間:
 2018年9月19日(水)~ 25日(火)(9月23日休演)
・会場:
 パリ市立劇場 エスパス・カルダン
・主催:
 国際交流基金、パリ市立劇場
・共催:
 公益財団法人小田原文化財団、フェスティバル・ドートンヌ・パリ
・制作協力:
 公益財団法人せたがや文化財団 世田谷パブリックシアター
・構成・美術:
 杉本博司
・主な出演者
『三番叟』
 9月19日(水):野村萬斎
 9月20日(木):野村万作
 9月21日(金):野村裕基
 9月22日(土)昼:野村萬斎
 9月22日(土)夜:野村万作
 9月24日(月):野村裕基
 9月25日(火):野村萬斎
『月見座頭』
 9月19日(水):野村万作
 9月20日(木):野村萬斎
 9月21日(金):野村万作
 9月22日(土)昼:野村万作
 9月22日(土)夜:野村萬斎
 9月24日(月):野村万作
 9月25日(火):野村万作

(Update: 2018.5.15)