ジャポニスム2018|Japonismes 2018

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2019/03/08

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大林宣彦監督、役所広司さん、常盤貴子さん、宮﨑あおいさんが「日本映画の100年」のイベントに登壇

2019/03/08


©Yurina Niihara

2019年2月15日(金)、パリのフランス国立映画センター(CNC)にて、「日本映画の100年」の発表会が行われ、大林宣彦監督と、俳優の役所広司さん、常盤貴子さん、宮﨑あおいさんが出席しました。

冒頭、「ジャポニスム2018」事務局を務める国際交流基金の理事長、安藤裕康より、日仏友好160年にあたる昨2018年7月より開催されてきた同プロジェクトによって、いかに多くのフランスの方々が日本文化に触れてきたかをご報告しました。続いて、同プロジェクト公式企画の一つであり、日仏の専門家が共同で選んだ119本の映画で1920年代から今日までの日本映画の歴史を辿る一大事業「日本映画の100年」の概要が紹介されると、映画上映に合わせて渡仏していた、大林宣彦監督、俳優の役所広司さん、常盤貴子さん、宮﨑あおいさんが会場に登場し、客席を大いに沸かせました。
壇上の大林監督に加え会場には、同じく「日本映画の100年」での作品上映とアフタートークのためにパリ滞在中の沖田修一監督、白石和彌監督、樋口真嗣監督らが姿を見せました。
 
なお本発表会は、日仏両国の映画分野での協力や映画製作者の相互進出を後押しすることを目的に、「ジャポニスム2018」の機会をとらえて、公益財団法人ユニジャパンとフランス国立映画センターが日仏映画監督・プロデューサーを招いて催した「日仏映画ラウンド・テーブル」と、両者の間で締結された「日仏映画協力協定」の交換式に引き続き、同じ会場にて行われたものです。日仏映画人の交流促進を目的に渡仏されていた、安倍晋三内閣総理大臣の特使を務める萩生田光一衆議院議員、株式会社KADOKAWAの角川歴彦会長、東宝株式会社の島谷能成社長、東映株式会社の多田憲之社長、東宝東和株式会社の山﨑敏社長、国立フィルムアーカイブの岡島尚志館長らも来場されました。


©Yurina Niihara
左から大林宣彦監督、常盤貴子さん、宮﨑あおいさん、役所広司さん
 
「日本映画の100年」記者発表会の中で壇上の役所広司さんは、「私が出演している『孤狼の血』『キツツキと雨』『三度目の殺人』などを『日本映画の100年』で上映していただいています。アフタートークに登壇し、フランスの皆さんやフランスに住んでいる日本人の皆さんが、映画を本当に楽しんでいらっしゃることを実感しました。フランス映画と日本映画が力を合わせて何かできればと思います」と話しました。

次に常盤貴子さんは、まずフランス語で挨拶を行った後、「昨年、横浜で行われたフランス映画祭でプレゼンターを務めました。その際おいでになっていたフランスの俳優さんたちの、フランス映画を日本の人に見せたいという熱い思いにとても感動しました。今回は私たちがその役目を果たせればと思います。一人でも多くの方に日本映画を見ていただけることを願っています」とコメントしました。

宮﨑あおいさんは「今回の参加を楽しみにフランスへ来ました。これまで私は、映画作りを通してたくさんの素晴らしい方々に出会って、様々な経験をして、それによって自分の人生が大変豊かになりました。映画が大好きな世界中の方々と、こうした出会いや経験を重ねていければと思います」と述べました。

最後に「日本映画の100年」で作品が上映される監督たちを代表して登壇した大林宣彦監督は、「まず今、俳優さんたちのスピーチを聞いて、日本映画を支えてくれている俳優さんたちは、見た目もチャーミングだけれど言葉も大変チャーミングで、作り手と受け手の間の外交官のような仕事をされていると感じました。彼らがとても知的な伝達者であるということに感動し、こういう俳優さんたちを生かせる映画をもっと作らねばと思っています」と前置きした後、「160年の日仏交流の歴史は大変貴く長いものですが、この160年の間には世界で2つの大きな戦争があり、各国でも戦争、侵略、殺戮による犠牲がありました。映画はそもそも常に市民の味方で、私たち庶民を勇気付けてくれるものでした。映画は、お互いを理解し合って、語り合い、仲良く暮らすための知恵と未来に対する勇気を与えてくれます。映画で歴史の過去を変えることはできませんが、未来はきっと変えることができます。戦争を無くし、平和にする力を映画に託した若い人たちが頑張ってくれている。そしてそれを先輩たちが讃えてくれていることは希望です。私は80歳を過ぎた人間ですが、まだまだ30年は映画を作り続けます。頑張りますのでよろしくお願いします」と力強く締めくくりました。

昨年9月から続いてきた「日本映画の100年」の最終第3部では、日本映画の「今」を伝える「現代監督特集」として、公開されたばかりの新作も含め、日本映画界を牽引する巨匠から今をときめく若手監督まで現在活躍中の監督による37本の映画の上映を実施しています。2月には連日、監督たちによるトークが繰り広げられ、加えて会場の一つであるパリ日本文化会館には、上映作品の一つ『シン・ゴジラ』の主人公、シン・ゴジラの像が展示されました。
 
 
■質疑応答①

Q:「日本とフランスの映画がどのように発展していくことを願っているか」
(以下、回答順)

大林宣彦監督
「私たちの世代までは、日本の映画、フランスの映画というように、それぞれの国の歴史を背負って表現してきました。しかし若い人たちは、『もう、日本もフランスも、イタリアもアメリカも北朝鮮もない。世界は一つだ。世界を一つにすることが、映画の力だ』と信じて映画を作ってくれている。そのことに誇りを感じています。これからはお互いの違いを認め合い許し合い理解し合い、むしろ、違いがあるからこそ一緒に生きることが楽しいのだという時代が来ていると思います。それが私はうれしいです」

役所広司さん
「映画は、それを通じて相手の国のことをよく理解できるもの。そういう意味でとても良い外交手段だと思います。映画が廃れないよう、日仏で良い知恵を出し合い協力し合いながら、作る側も守る側も頑張っていけたらと思います」

常盤貴子さん
「フランス語を学ぶ番組に出演した際、フランス人の映画に対する見方が日本人と大きく違うことを知りました。日本とフランスはどちらも歴史のある国です。違う見方をフランスから学び、お互いの素敵な文化を世界に広めていくことができたらと思います。そうすることで美しい映画ができるのではと期待します」

宮﨑あおいさん
「私はまだ海外の方と作品を作る機会が少なく、分からない点も多いのですが、映画が好き、ものづくりが好きという点では、国の違いを越えて分かり合える部分があると思っています。映画を作ること、ものを作ることへの熱意があれば、素敵な作品が生まれるのではないかと思います」
 
 
■質疑応答②
Q:「ハリウッド映画とは異なるフランス映画の魅力は? 」
(以下、回答順)

役所広司さん
「子どものときからフランス映画をよく見ました。他では学べない大人の世界がフランス映画にはあります。私はフランス映画で思春期を過ごし、男女のいろいろな営みもフランス映画から学んできたように感じています。私にとってフランス映画とは、大人で、人生を感じさせるものです」

宮﨑あおいさん
「昨日パリに着いたのですが、どこを見てもオシャレでかっこよくて、カフェに座っているふつうの人々も素敵です。そういった街並みや古くからの歴史ある建物がフランス映画の中にも映っていると思います。ものづくりにはその街の雰囲気が影響するものだと思うので、絵になるな、素敵だなと思いながらパリの街を歩きました」

常盤貴子さん
「私がフランス映画をよく見ていたのは18、19、20歳くらいのとき、女優という仕事を始めた頃でした。同時にこの頃、勉強のために、昔の日本映画もよく見ていました。両方とも当時の私には似ていて難しく、眠いばかりで理解できませんでした。でも、きっとこのわからないことが魅力なのだろうと思って見ているうちに、30代、40代になると面白さが増してきて、また見たいと思うようになりました。以前、大林監督が『映画は分からないから面白いんだよ』とおっしゃり、目から鱗が落ちる思いがしました。わからないから芸術なのだ。フランス映画は、何十年もかけて答えを探すことができる。その面白さに気付きました」

大林宣彦監督
「国を失い、家族を戦争で殺され、不幸な道を歩いたユダヤ系の人たちが中心となって、叡智を集め、理想の自由と夢の国を映画で作ろうと始めたのがハリウッド映画です。しかもそれをエンターテインメントにする力を持ってきたのがアメリカ映画だと思います。アメリカ映画が『考える映画』だとすれば、フランス映画は『感じる映画』、日本映画も『感じる映画』です。私たち日本人はハリウッド映画を感心して見る。一方、同じ日常を体験し、暮らしを楽しむことを描いているフランス映画は、私たちは感じることができます。パリに来て、私は北ホテルに行きました。サン・マルタン運河の橋の上に座っていると、『ああ、ここは人が歩いて渡る橋ではない。じっと座っていると、時間が風のように通り過ぎていく橋なのだ』と感じます。時間が渡る橋という発想はアメリカ映画にはありません」
 
 
 
■イベント概要
ジャポニスム2018公式企画「日本映画の100年」記者発表会
日 時:2019年2月15日(金) 17:25~18:00
会 場:フランス国立映画センター(CNC) 試写室(291 Boulevard Raspail, 75675 Paris, Cedex 14, France)
内容 :①ジャポニスム2018及び「日本映画の100年」概要説明
    ②来仏中の監督・俳優によるご挨拶
    ③質疑応答
登壇者: 大林宣彦監督、役所広司氏、常盤貴子氏、宮﨑あおい氏、安藤裕康(国際交流基金 理事長)
   

■「日本映画の100年」概要
第3部「現代監督特集」
期間:2019年2月6日(水)~3月19日(火)
会場:パリ日本文化会館およびシネマテーク・フランセーズ

詳細はこちら(「日本の映画100年」特設サイト)