ジャポニスム2018|Japonismes 2018


坐禅指導

コラム
2018/10/25

ジャポニスム2018 禅文化週間に思う

臨済宗国泰寺派全生庵住職
平井正修

 10月2日~7日、パリにてジャポニスム2018「禅文化週間」が開催されました。
日本から大本山円覚寺派管長 横田南嶺老大師はじめ10名の禅僧とリヨン近郊から2名のフランス人の禅僧が参加し、パネル展示、映像、講演会、坐禅会、写禅語(禅の言葉を筆で写す)を通して、フランスの方々に、伝統的な日本文化の根底をなす「禅」について体験していただきました。
しかし、このイベントの開催にあたっては大きな不安がありました。
 「禅」という言葉は今やZENで世界に通じるようになりましたが、その内容がフランスにおいてどう理解されているのか、あるいは言葉として知っているところから一歩進んで、実際に足を運んで体験しようと思ってくれる人がどれくらいいるのか、ということです。
 ところが、実際に始まってみると、各イベントとも大変多くの方のご参加をいただき、そんな不安は一蹴されました。
「禅」の話に真剣に耳を傾け、慣れない姿勢で頑張って坐禅をし、初めて持った筆と格闘しながら禅語を書く、そんなフランスの方々の姿に「禅」への興味、というか文化そのものへの関心の深さを感じ、私たちもその姿に学ぶべきものを感じました。

 

(左)大本山円覚寺派管長横田南嶺老大師 (右)写禅語

 

 今回のイベントで何を伝えられたか?と問う人がいますが、そもそも「禅」は何かを伝えるものではありません。
 真剣に耳を傾ける、頑張って坐禅をする、筆と格闘する。そこに「禅」があるのです。
 言葉として表現するならば、「調和」ということになります。すなわち「禅」とは「調和」です。
 坐禅は自分の心と身体の「調和」、他の話を聞くときは自分と他と「調和」、筆を持って字を書くときは自分と筆と字の「調和」といった具合です。
 日本は春夏秋冬の四季の変化のおかげで大変に美しい国ですが、一方で台風、地震といった自然災害の多い国でもあります。
 そのような風土の中で日本人は自然と「調和」する心を学び、その心の表現が、日本文化となっています。
 このジャポニスム2018でフランスの方々にも是非この「調和」を感じていただきたい。
 そして、このイベントが日仏両国はもちろんのこと、世界の「調和」の一歩となりますことを切に願っています。

平井正修

臨済宗国泰寺派全生庵住職
1967年生れ 東京都出身
1990年 学習院大学法学部卒
1990年 静岡県三島市龍澤寺専門道場入山
2001年     同        下山
2003年 全生庵第七世住職就任
2016年 日本大学危機管理学部客員教授就任
2018年 大学院大学至善館特任教授就任

 現在、安倍首相や中曽根元首相などの政界・財界人が多く参禅する全生庵にて、坐禅会や写経会など布教に努めている。

 著書「最後のサムライ山岡鉄舟」(教育評論社)、「坐禅のすすめ」(幻冬舎)、「花のように、生きる」(幻冬舎)、「13歳からの仏教塾」(海竜社)、「三つの毒を捨てなさい」(KADOKAWA)、「男の禅語」(三笠書房・知的生き方文庫)、「山岡鉄舟修養訓」(致知出版社 活学新書)、「忘れる力」(三笠書房)、「お坊さんにならう こころが調う 朝・昼・夜の習慣」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「安心を得る」(徳間文庫)など多数。