ジャポニスム2018|Japonismes 2018

コラム
2019/04/24

ジャポニスム2018閉幕に寄せて

駐フランス日本国特命全権大使
木寺昌人

 日仏友好160年を記念しフランスで開催された「ジャポニスム2018:響きあう魂」が終わりを迎えました。2018年7月から2019年2月までの8か月の間に、あわせて100以上の公式企画及び200以上の参加企画が実施され、フランスにおいて縄文の古の美から現代日本の最新技術を駆使したアートまで、多様な日本文化を紹介しました。

 これだけ多くの展覧会や公演が一度に開催されたことはこれまでフランスにおいてありませんでした。2018年7月のオープニング式典に先立ちラ・ヴィレットにおいて開催された「teamLab : Au-delà des limites(境界のない世界)」展は、30万2千人もの来場者を集めました。縄文土器から現代アートまであわせて展示し、ジャポニスム2018の目次展としての位置付けであった「深みへ‐日本の美意識を求めて‐」展は、夏休み期間中だったにも関わらず、3万6千人以上の来客を得ました。プティ・パレ美術館において開催された「若冲―〈動植綵絵〉を中心に」展はわずか1か月という開催期間ながら7万5千人もの来場者を記録しました。宮内庁式部職楽部の「雅楽」は、フィルハーモニー・ド・パリの2,400人収容のホールを満席にしました。そして、アクリマタシオン公園において開催した「『地方の魅力』―祭りと文化」では3日間で6万人もの来客が日本の地方の祭りを楽しみました。5つの流派の家元・次期家元が集まった「いけばな」の展示は4日間で3千6百人以上の来場者を得ましたが、パリ日本文化会館で4日間でこれだけの来場者数を記録するのは初めてだったということです。ここには到底書き切れないほどの様々な成功が積み重なり、ジャポニスム2018は出来上がりました。公式企画は190万人、特別企画・参加企画もあわせると300万人超もの方々にジャポニスム2018を楽しんでいただきました。
 このジャポニスム2018の成功は、日本文化をよく知りいつも高く評価してくださっているフランスの皆様のおかげです。各企画に足を運んでくださったフランスの皆様に、改めて御礼を申し上げます。

 2018年7月にラ・ヴィレットにおいて開催された開会式には、河野外務大臣とニッセン文化大臣が出席し、ともに「teamLab : Au-delà des limites(境界のない世界)」展を楽しみました。また、9月には、皇太子殿下が来訪され、ヴェルサイユ宮殿においてマクロン大統領とともに「宮本亜門演出 能×3D映像 『YUGEN 幽玄』」を堪能されました。皇太子殿下は、翌日には、「若冲―〈動植綵絵〉を中心に」展を視察されるとともに、国立シャイヨー劇場にて「松竹大歌舞伎」をご覧になり、「エッフェル塔特別ライトアップ<エッフェル塔・日本の光を纏う>」の点灯式も行われました。そして、10月には安倍総理大臣夫妻が訪仏し、パリ日本文化会館における「縄文-日本における美の誕生」展を視察しました。8か月の間にこんなに多くの要人が来訪することは珍しいことです。ジャポニスム2018をきっかけとして、日本・フランス両国民の相互理解が一層進み、両国民間の信頼・友情が一層強固なものになったと考えております。

 私は、在フランス日本国大使として、「日本文化を最も良く理解しているのはフランス人であり、フランス文化を最も良く理解しているのは日本人である」と常々申し上げています。今回のジャポニスム2018を通じて、フランスの皆様には新しい日本を発見していただけたのではないかと考えております。19世紀にフランスに紹介された日本文化が「ジャポニスム」としてフランスの芸術家たちの創造力を掻き立てたように、今回のジャポニスム2018もフランスの皆様に大きな衝撃と印象を残すことができたものと確信しております。
今回のジャポニスム2018を経て、日本とフランスの関係は新たな段階に入ったと言えるでしょう。
 日本では、2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。それぞれの大会は、2023年のフランスにおけるラグビーワールドカップ、2024年のパリ・オリンピック・パラリンピックと、日本からフランスへ引き継がれます。フランスの皆様には、これをきっかけに是非、日本を訪れていただきたいと思いますし、この機会に日仏両国民の往来がより一層活発になることが想定されます。ジャポニスム2018をきっかけに深化した両国の関係が、さらに発展することを祈念いたします。

 最後に、ジャポニスム2018の実施のために尽力していただいた日仏両国のすべての関係者の皆様に感謝を申し上げます。特に、フランスにおいてジャポニスム2018の公式企画の開催を受け入れてくださった各美術館・劇場等に感謝申し上げます。これら施設の協力なくしては、ジャポニスム2018の成功は有り得ませんでした。
 そして、2年間にわたり、「ジャポニスム2018日仏合同委員会」を開催し、ジャポニスム2018の成功のために協力してくださったフランス外務省、文化省、アンスティテュ・フランセ、イル・ド・フランス州、パリ市に感謝を申し上げます。

木寺昌人

 1976年 外務省入省。1997年 在タイ日本国大使館公使。
 2000年 大臣官房会計課長。2001年 在フランス日本国大使館公使。2002年 在ジュネーヴ国際機関日本政府代表部公使。 2005年 大臣官房審議官兼経済局。2006年 大臣官房審議官兼総合外交政策局 大使。2008年 中東アフリカ局アフリカ審議官。2008年 国際協力局長。2010年 大臣官房長。 2012年 内閣官房副長官補。 2012年 特命全権大使中華人民共和国駐箚。2016年より現職。